カーテンコール
『さらば にゃす先生』 寺山修司@あの世 角川文庫「競馬への望郷」冒頭より ふりむくと 一人の童貞が立っている 彼はにゃす先生が出てくるたび うれしくて オナニュを三回もした ふりむくと 一人の無職が立っている 彼はにゃす先生の罵倒のとばっちりで 憂鬱になって ハローワークに行きたくなくなった ふりむくと 一人のペドがいる 彼はにゃす先生の罵倒なんぞどこ知らず ょぅι゙ょの美しさを知った ふりむくと 一人の非童貞が立っている 彼はにゃす先生が真剣に植毛を考えた日に 童貞を捨てた (中略) ふりむくと 一人の人妻が立っている 彼女は夫にかくれて にゃす先生にレスしたことが たった一度の不貞なのだった ふりむくと 一人のフリーターが立っている 彼は生まれて生まれて初めてもらった給料で にゃす先生をプリンコして射精にいたるために プリンターを買った ふりむくと 大都会の師走の風の中に まだ一度も投稿者名に湖畔を入れたことのない 百万人の空白が立っている ネットでの煽り合いに 自分の出番を待っているヤシらの 一番うしろから せめて(ρ_;)ノを書き込んで 別れのあいさつを送ってやろう にゃす先生よ お前のいなくなった広い黒板色の掲示板に ωだけが取り残されて 風に吹かれているのだ ふりむくと 一人の湖畔が立っている 彼はあやしいの過去ログを読みながら 昔 会話したにゃす先生のことを 思い出している ふりむくと 一人の半年ROMが立っている 彼は表チャットで にゃす先生の強かった日のことを みんなに話してやっている ふりむくと 一人の駆け出しの煽り屋が立っている 彼は一番口が悪い湖畔は にゃす先生だと信じ キーボードにその顔文字を貼って たたきつづけた (中略) もう誰も振り向く者はないだろう うしろには白い404があるだけで そこにはにゃす先生は もういないのだから ふりむくな ふりむくな うしろには(6_6)がない にゃす先生がいなくなっても すべてのあやしいが終わるわけじゃない ぁぃぁぃという名のラーメン屋には 次の開店をまちかまえている百万人の 名もないにゃす先生の群れが 朝焼けの中で 麺打ちをしている地響きが聞こえてくる 思い切ることにしよう にゃす先生は ただ数十メガの電子データにすぎなかった にゃす先生は ただ一掲示板の思い出にすぎなかった にゃす先生は ただぁぃぁぃでの連続ドラマにすぎなかった だが忘れようとしても 眼を閉じると あの日の書き込みが見えてくる 耳をふさぐと あの日の罵倒の声が 聞こえてくるのだ おまえが心の中で思うかぎり、にゃすは存在しつづける(6_6 ) ┌──┐ ≧♀≦ ⊥ ☆ ⊥ ∧∧ ∧ ∧ ヽ~ノ Ψ Ψ * ヽ(´ー`)人(●´ー`●)人(゚ω゚)人( ゚Д゚ )人(◎ー`)人( 6_6)人(TДT)人(´Д`)人(゚ー゚)人( ー )人(′ー`)人(´ー`)ノポー 勝手に殺すのはどうかと思うよ(⌒∇⌒ゞ) (・_・)ゲラゲラ